AIがハイイールド債市場に与える影響

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2027-09-03
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ブレイク・ハイン, 債券ポートフォリオマネジャー、クレジットアナリスト
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AIはもはや株式に限った話ではなく、ハイイールド債市場でも重要性を増しています。当初テクノロジー関連のテーマだったものが、債券発行やセクター動向、信用リスクに有意な影響を与える広範な資本サイクルへと変わりつつあります。

筆者にとって、主要な論点は明らかです。AIはハイイールド債分野の単なる一つのテーマではなく構造的な転換をもたらすものであり、投資機会を再構成し、市場のばらつきを拡大させ、アクティブ運用と柔軟性の重要性を浮き彫りにします。

新たなAI設備投資サイクルにより資金需要が増加

AIをめぐる議論の核心は設備投資の異常な急増です。データセンターから発電まで、AIをサポートするために必要なインフラを構築するには、世界中で数兆ドルの投資が長期にわたり必要です。この成長資金を調達するために、発行体はハイイールド債を含む社債市場にますます目を向けつつあります。

その影響はすでに目に見えています。AIインフラ関連のハイイールド債の発行は急増し、年初来のハイイールド債発行全体に占める割合は2025年の5%から約20%に拡大しています(図表1)。

棒グラフは先進国市場での米ドル建てハイイールド債の暦年別発行額を示しています。2025年以降、AI設備投資関連の資金調達がハイイールド債発行額に占める割合が増えていることが分かります。

投資への影響

投資可能な新たなサブセクターの出現

AIは、データセンターやデジタル・インフラに特化した新たなサブセクターをハイイールド債の一分野として創出しています。足元では拡張資金を調達するために、多様な発行体がハイイールド債市場を利用しています。これらの新たな発行体は、多くの場合、ハイパースケーラーと長期契約を締結していますが、これらの資金調達はストラクチャード・クレジット、証券化、プロジェクト・ファイナンスの要素を組み込んだ複雑な構造になっている場合があります。

そのため、投資家は以下の両方へのエクスポージャーを得ることができます。

  • 急速に成長している、不可欠な経済分野
  • 新しく、まだ試されていない信用構造

より広範なAIエコシステムへのアクセス

「マグニフィセント7」の発行規模を踏まえると、この市場の中心は投資適格級のハイテク企業ですが、ハイイールド債分野での投資機会は、以下の分野を含む、より広範なAIエコシステムに関連しています。

  • 電力・公益事業:エネルギー集約型データセンターからの需要が急増しています。
  • 通信・ネットワークインフラ :接続を可能にします。
  • 産業用資材・ハードウェアのサプライヤー :AIエコシステムの物理的構築を支援します。

勝者と敗者の格差が拡大

AIのテーマが成熟するにつれて、明確な信用格差が生じつつあります。一方には、インフラやエネルギー、基盤技術に関連する企業など、AI構築の恩恵を受ける企業があります。他方、ソフトウェア、ITサービス、メディア、保険仲立業などの企業は破壊的変革に直面しています。

過去の資本サイクルの教訓

1990年代の通信セクターや2010年代半ばのエネルギー・セクターなど、過去の大規模な設備投資サイクルの特徴として、過剰投資やレバレッジ比率の上昇、債務不履行の増加が挙げられます。AI構築でも同様の状況が生じる初期の兆候が現れています。投資の規模は巨額ですが、最終的な需要の水準、価格決定力、収益性は不透明なままです。すべての発行体が持続可能なキャッシュフローを生み出すわけではなく、また、すべてのバリュエーションが正当化されるわけでもないため、今後大きなばらつきが生じる可能性が示唆されます。

筆者が注目している点

大局的な視点から言えば、AIによる仲介業者排除リスクに直面している発行体で高いボラティリティが継続するでしょう。AIの破壊的影響の最終的な範囲を判断するのは依然として時期尚早ですが、それによって生じる不確実性が魅力的な投資機会をもたらす可能性があると考えています。

ポジショニングの視点から言えば、景気サイクル全体を通して資産価格はどのように動くだろうか、という点に関する長年の前提を投資家は疑ってかかる必要があります。市場が様々なシナリオの可能性を評価しようとする結果、発行体のばらつきはさらに拡大するとみられます。

以上を踏まえると、投資機会を捉え超過収益の獲得を目指す上では、ファンダメンタルズに基づくクレジット選別を重視する柔軟なトータルリターン志向の戦略が、より有利な立場にあると考えられます。

1 プロジェクト・ファイナンスとは、大規模かつ長期のインフラ・プロジェクトや産業プロジェクトに資金を提供する際に用いられる融資形態であり、スポンサーのバランスシートではなくプロジェクトの将来キャッシュフローが返済の主な原資となります。

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