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ジーン・ハインズ
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当社は2024年もこれまでと変わらず、お客様の投資収益の向上を目指し、気候リサーチを継続しました。ウエリントンの気候リサーチ・チームは気候変動の多面性を踏まえ、投資に役立つ知見を得るために様々なテーマのリサーチに取り組みました。気候変動の物理的リスク調査と移行リスク調査が交わる新しい重要な研究分野は、生成AIの大規模な拡大がエネルギー・インフラに及ぼす影響です。当社は電力需要を満たすための企業レベルの戦略を検討し、地域の潜在的な電力供給のボトルネックを特定しています。もう1つの進化している調査テーマは、異常気象が頻度を増す中での保険料設定やリスク移転といった、保険市場のダイナミクスの変化です。気候リサーチ・チームは様々な資産クラスの社内のセクター・スペシャリストと連携しており、こうしたスペシャリストが持つエネルギー、公益事業、保険、コモディティ、その他多くの分野の専門知識を気候リサーチに活かしています。
ウッドウェル気候研究センター(以下、ウッドウェル)や米国マサチューセッツ工科大学のサステナビリティ科学戦略センター(MIT CS3)との共同調査は、当社の社内の議論に対して、科学的裏付けと反証の貴重な源泉であり続けています。また、既存の保険会社、州の保険規制当局、気候テックに特化したスタートアップ企業など、外部の利害関係者とのエンゲージメントもリサーチに寄与しています。投資に関する知識と好奇心が、お客様に対する受託者責任とともに、気候変動がもたらす重大な金融リスクと機会を理解するための探求の原動力となっています。
2024年には、これまでの取り組みを基盤に、独自および第三者のツール・技術を利用し、気候リサーチの運用リサーチ全体への統合をさらに進めました。発行体ベースのフォーカスリストを拡大し、より多くの気候テーマを盛り込むことで、様々な気候ソリューションに対して収益エクスポージャーを持つ企業を浮き彫りにしました。また、物理的リスクのボトムアップ分析の対象を2,700社近くに拡大し、データセットの充実と合わせて、企業をレジリエンス(耐性・回復力)指標に基づいて一層差別化できるようになりました。最後に、運用チームが移行アライメント格付け(TAR)の基礎となるデータポイントを掘り下げたり、企業レベルの変化を監視したりするのを支援する透明性ダッシュボードを立ち上げました。
さらに、当社は気候リサーチと測定手法をより広範な資産クラスに適用しました。例えば、コモディティについては、気候変動が将来の需給動向に及ぼす影響を評価しようとしました。その主な目的は、農産物に関するコモディティ運用チームの短期見通しに役立つ干ばつモニターなどを通じて、リアルタイムの気候情報へのアクセスを拡充することです。また、当社独自のデータ収集や分析手法に基づき、証券化商品市場のカーボンフットプリントを評価する取り組みを開始しました。それ以来、当社の手法を金融向け炭素会計パートナーシップ(PCAF)のガイダンス案と比較するとともに、同グループとの協議に参加してきました。ただし、証券化商品に関して必要な推計の規模や範囲が大きいことから、この取り組みは投資判断を下すことを目的としたものではありません。
お客様との知識共有や理念的パートナーシップも継続しました。毎年恒例のウエリントン気候リーダーシップ連合(WCLC)サミットには世界の大手アセットオーナー20社以上が参加し、様々な気候トピックについて議論しました。WCLCでは、ウッドウェルやMIT CS3との共同調査から得られた投資に関する知見や、クライメート投資プロセスの実際の仕組みなどを共有しています。リスク・リターン目標に沿った形で、投資マンデートにおける脱炭素化目標の実現を求めるお客様との連携も拡大しました。ハイイールド債や新興国債券に投資する特定のマンデートに関するガイドラインを初めて導入しました。
2024年には国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)への支持を改めて表明し、一例として、上場企業による義務的サステナビリティ開示要件の導入に関する国・地域協議に対応しました。これらの国・地域としては香港、スイス、インドネシアなどがあり、2025年も他の国・地域での協議が続く見通しです。
当社は、気候変動や異常気象が投資パフォーマンスやリスク管理に及ぼし得る財務上重要な影響に関するお客様の理解を助けることに尽力しています。このような調査は数十年前に、水質と水へのアクセスに焦点を当てた全社的な「Future Themes(将来テーマ)」イニシアチブの一環として開始されました。それ以来、当社は気候変動、低炭素社会への移行、資本市場の間の重要な経済的相互作用を明らかにしようと努めています。気候リサーチから得られた投資に役立つ知見の提供など、投資成果の向上に向けた当社の取り組みへのご支援とご関心に感謝いたします。
ジーン・ハインズ
ウェンディ・クロムウェル
クリス・グールゲイジアン