グローバル・インパクト・レポート(株式戦略)

2027-11-20
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Aerial view of floating solar panels cell platform on the lake

ウエリントン(以下、当社)のグローバル・インパクト運用戦略に関する第9回アニュアルレポートをお届けします。経済的・地政学的な不確実性を背景に、インパクト投資の必要性が引き続き高まっています。例えば、経済面では、高インフレのために安価な住宅や栄養豊富な食品への需要が増大しています。一方、地政学的緊
張を受けてサイバーセキュリティの進化が加速しており、人工知能(AI)ベースの攻撃による脅威が高まる中、企業、政府、個人はより強固な保護を必要としています。こうした投資テーマやあらゆるインパクト投資テーマへの投資支出は今後も続くとみられ、長期的な成長機会を支えることで、当社はお客様にとって魅力的なリターンの創出を追求できると確信しています。

2024年には、生成AIが変革をもたらす可能性が鮮明になりました。データセンター建設のための設備投資の増加により、増大するエネルギー需要を満たす電力網の強化や代替エネルギー源の確保が喫緊の課題となっています。当社が掲げる投資テーマである「資源の効率化」、「代替エネルギー」、「水問題と公衆衛生」に取り組む企業は、持続可能な方法でこの需要拡大を支えるのに適した立場にあると考えられます。また、様々な産業の企業がAI駆動型テクノロジーの力を利用して製品やサービスのインパクトを高めています。

2024年も、医療におけるイノベーションが大きな焦点になりました。特に、代謝性疾患、循環器疾患、がんといった難病向けの強力な医薬品パイプラインを持つ企業の注目度が高まっています。多くの科学的・臨床的進歩を背景に、当社は革新的な技術と強力なビジネスモデルを組み合わせ、世界中の患者に大きなプラスのインパクトを与える可能性を高めている企業を見出しています。

気候変動の影響が深刻化する中、持続可能でレジリエント(強靭)なインフラを支える企業への投資を継続しました。これは持続的かつ長期的なトレンドであると思われ、長期的な成長機会をもたらすと同時に、気候変動適応・緩和戦略を前進させます。当社の気候リサーチ・チームがウッドウェル気候研究センター(以下、ウッドウェル)や米国マサチューセッツ工科大学(以下、MIT)の「サステナビリティ科学・戦略センター(Center for Sustainability Science and Strategy)」と実施している共同調査は、こうしたソリューションに対する差し迫ったニーズがあることを引き続き裏付けています。

これまでと同様、私たちのグローバル・インパクト運用戦略では、「重要性」、「追加的インパクト」、「定量化」の3つの厳格な基準で、投資候補銘柄を選定しています。さらに、投資先企業には、 企業エンゲージメントを通じて、地球環境問題や社会的課題へのプラスの影響(インパクト)を計測・評価する成果指標(KPI)を設定することを働きかけています。必要に応じて、当社の他の運用チームと緊密に連携し、エンゲージメントの範囲を拡大しています。人と地球の利益につながるソリューションへの社会の理解が進み、企業がイノベーションを創出することで、インパクト投資の市場は今後さらに拡大していくでしょう。

私たちは引き続き独自の11の投資テーマを通じて、それらの企業への投資機会を追求し、魅力的な投資リターンを提供できるよう努めてまいります。日頃より当社並びにグローバル・インパクト運用戦略に多大なご支援を賜り、誠にありがとうございます。皆様の信頼があってこそ、インパクト投資はここまで成長することができました。これからも、私たちは地球環境と社会の課題解決に取り組み、企業価値向上につなげているインパクト企業に投資することで、長期にわたる社会経済的な利益と投資収益の成長を目指してまいります。

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ジェーソン・ゴインズ

グローバル・インパクト運用戦略 ポートフォリオ・マネジャー