債券ポートフォリオマネジャーが解説

2024年に向けた3つの期待

2025-03-04
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ウエリントン・マネージメントのグローバル・インパクト・ボンド運用戦略のリード・ポートフォリオ・マネジャー、キャンプ・グッドマンです。本稿では、私が考える2024年の期待を3つ、皆さまにご紹介いたします。

債券市場のリターン獲得機会

第1に、債券市場でのリターン獲得機会に大いに期待しています。2024年は始まったばかりですが、私の23年間のキャリアの中でも最大のチャンス到来だと見ています。債券の利回りは約15年ぶりの高水準で高止まりし、リターン獲得機会を得るには実に説得力のある材料です。また、市場では今年のボラティリティの上昇と市場全体のばらつきの拡大が予想されています。主な理由は、成長とインフレのバランス調整を見据えた各国中央銀行の動きです。つまり、セクターによって資本配分を変えることによって多数のリターン獲得機会を狙うことができます。私たちは、こうした機会を最大限活用するための最良の方法は、マルチセクターのグローバル債券運用戦略だと考えています。

インパクト投資機会の拡大

第2に、インパクト投資機会の拡大にも非常に期待しています。私たちは過去8年間、投資対象を開拓し、数も幅も広がっています。今後はこの領域のさらなる拡大を目指し、引き続き新しい創意工夫に注目します。例えば、これまでアジアやラテンアメリカを中心としたソブリン債に注目してきましたが、特に気候・環境問題に対して、それぞれのニーズに対応する画期的な仕組みが考案されています。2024年はどのような新しいイノベーションが生まれるのか楽しみにしていますし、それに応じてインパクト投資機会を拡大させたいと考えています。

エンゲージメント戦略の継続的な進展

第3に、私たちが従来から力を入れているエンゲージメント戦略の進展への大きな期待です。エンゲージメントはグローバル・インパクト・ボンドチームの主要活動の一つであり、2024年にさらに発展させたいと考えています。この1年は、企業以外のセクターを中心に活動を進めました。債券市場では多数の非企業発行者から次々と債券が発行されています。したがって、企業以外の発行者とのエンゲージメントに貢献することは債券投資家である私たちの重要な役割です。例えば、これまで複数の政府機関や開発銀行に対するエンゲージメント活動を行い、私たちのインパクト投資の目的を説明するとともに、情報開示の改善を促しました。さまざまなソブリン債発行者に対しても働きかけ、グリーンボンドの枠組みや気候変動に関する幅広い政策について話し合いました。私たちは、エンゲージメントが運用戦略におけるリスクを軽減し、リターンを高め、インパクト投資の目的の実現にできるだけ近づくための手段と捉えており、エンゲージメントを持続可能な運用戦略における重要な柱の一つと考えています。

2024年は、相場を上回るリターンの獲得機会、人々の暮らしと環境をより良くする機会という意味で期待に満ちた1年だと私たちは考えます。グローバル・インパクト・ボンドチームを代表し、日頃のご愛顧に感謝するとともに、皆様にとって素晴らしい1年になることを祈念いたします。

Campe Goodman

キャンプ・グッドマン

債券ポートフォリオ・マネジャー