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非伝統的債券セクター:
超過リターンの可能性に注目

2022-12-31
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2022年市場展望にて考察した通り、一部の非伝統的なクレジット・セクターについて、今後数カ月間に超過リターン創出の可能性が高いと見ています(図表1)。

  • 新興国の高利回りソブリン債は魅力的な投資対象で、クレジット・スプレッドが過去の中央値を大きく下回る水準にある数少ないセクターの一つです。多くの新興国のファンダメンタルズは、コロナ禍による債務負担増で幾分か悪化している一方、国際通貨基金(IMF)や世界銀行など国際機関からの支援は以前よりも容易に得られます。いつものことながら一部の新興国は固有の要因で債務不履行に陥ると予想していますが、確信度の高い発行体を注意深く選択して投資を行えば、中期的に十分なリターンを獲得できると見ています。
  • 転換社債は、株式バリュエーションが割高であるという懸念はありますが、他の債券資産が昨今持ち合わせない特徴、正のコンベクシティを示しています。高利回りバンクローンのような債券セクターは、クレジット・スプレッドがタイト化しており、他のクレジットと同様の下値リスクにもさらされているため、上値余地が限られるかもしれません。転換社債は、景気サイクルが中期から後期であっても上昇を続ける株式の特徴を持つ上に、債券としての「下値硬直性」により潜在的な損失が抑制されます。また、他の債券セクターにはないような多様な投資機会を提供していることも転換社債を選好する理由です。
  • ノン・エージェンシー住宅ローン担保証券(RMBS)も引き続き魅力的な投資対象です。同セクターのファンダメンタルズは、低い住宅ローン金利と供給不足を支援に好調を維持する米国住宅市場の恩恵を受けるでしょう。

リスクを管理し機動的な姿勢を維持

ここから数カ月間は、特にバリュエーションが割高なままである、または、一層上昇することがあれば、リスク・エクスポージャーの削減が適正な債券運用戦略となるでしょう。しかし、例えば、ボラティリティの上昇で銘柄固有の要因による格差が拡大した場合や、債券市場の非効率性が増した場合には、機動的な対応を採るべきと考えます。

依然として不確実な市場環境が続くであろう2022年には、信用力と流動性の高い現金や先進国国債により多くの資産を配分しつつ、リターンを高めるため、必要に応じて、上記で取り上げた非伝統的なセクターへの投資を行う、一種の「バーベル投資」が有効な戦略になると見ています。

図表1
セクター別トップダウン評価の比較:超過リターン予測シナリオ

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デュレーション調整ベースの対米国債超過リターン。運用チームが過去のリターンとボラティリティの特性分析に基づき行った将来の超過リターンとボラティリティの予測シミュレーション。結果予測を他のファンダメンタルズや需給要因データと併せて検討し、どのセクターが魅力的であるかを判断。
出所:ウエリントン・マネージメント。2021年9月30日時点。※上記は過去の実績および将来の予測であり、将来の運用成果・市場環境等を示唆・保証するものではありません。上記の見通しはウエリントン・マネージメントによるの見解に基づくもので、必ずしも客観的な市場データに基づくものではありません。

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ロバート・バーン

債券ポートフォリオ・マネジャー
Campe Goodman

キャンプ・グッドマン

債券ポートフォリオ・マネジャー