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2022年CEO年頭挨拶
変化を受け入れる

2022-12-31
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(日本語抄訳)

30年間のキャリアを通し、私が実感したウエリントンの特長の一つは、絶えず進化し続ける力です。それはお客様のニーズにお応えすることはもとより、継続的な成長と機会で社員のモチベーションを高め、新しい異なるスキルを持つ人材を惹きつけることにつながります。この進取の気風は当社の企業文化に深く根付いています。実際にこの2年余りの新型コロナウイルス禍での多くの試練にも、変化を受け入れる意志が私たちの希望の光となってきました。

こうした背景のもと、皆様への新年のご挨拶として、当グループのビジネスおよび長期にわたりお客様の資産運用の目標を支援する戦略的イニシアチブの進捗について、いくつかご報告いたします。

ウエリントンのミッション(使命)とパーパス(意義)の進化

当グループは長年、世界中のお客様の期待を超える運用成果とサービスの提供をめざすことを使命として掲げてきました。今後はお客様のその先の人々——大学生、患者、年金受給者に至るすべての受託資産の実際の受益者に、私たちのミッション(使命)とパーパス(意義)をより明確に結び付けていく方針です。例えば、新型コロナウイルス禍では病院や医療機関が重要な役割を果たす上で、私たちも資産運用を通し微力ながら支援することができたのではないかと考えます。お客様の資産運用の目的達成に向けて、アクティブ運用による超過収益の実現が果たす役割はこれからさらに大きくなるでしょう。

これらを念頭に、私たちはより簡潔かつ志の高いミッションおよびパーパスのステートメントとして、「お客様への卓越した資産運用の提供を追求し、何百万人を超える受益者の生活にプラスのインパクトを与える」を掲げ、めざしていきます。当グループの経営オーナーシップ(世界規模のプライベート(非公開)パートナーシップ制の独立系資産運用会社)、運用基盤(グローバルに統合されたリサーチ主導の専門集団)、お客様第一主義の精神、コラボレーション(協働)重視の企業文化はその礎となるでしょう。

戦略的イニシアチブの進捗

昨年の最高経営責任者(CEO)の就任にあたり、私は多くの時間を費やし、リーダーの役割を果たす最善の方法について同僚および他社の経営者から知恵や知見を得るように努めました。そうした中、明確で具体的な優先事項を明示する重要性を学びました。あるCEOはそれらを「正しく理解しなければならないこと」と表現しました。私たちの目標の優先事項は、長期にわたり卓越した運用成果を実現し、お客様に信頼される資産運用会社になることです。優秀な人材を惹きつけ、革新的な投資機会を追求し、市場リスクを回避する能力を引き出していくプロセスが長期目標を達成する鍵となります。それは当グループの企業文化の基盤でもあります。

当グループでは目標達成に向けて、次の戦略的イニシアチブに取り組んでいます。

1. サステナビリティ(持続可能性)を運用プロセスと社内の意思決定に組み込む

サステナビリティ(持続可能性)への関心の高まりは、今後10~15年間で金融市場を根底から変えていくでしょう。資産運用会社はこの変化に対応すべく、世界中の企業と政府の温暖化ガス排出量実質ゼロへの道筋、利害関係者に対する企業や政府の対策・行動の影響、質の高いガバナンスによる企業業績や株価リターンへのインパクトなどを理解する新たな能力、データ、テクノロジーを備える必要があります。当グループはサステナブル投資で主導的な役割を果たすために、これらの分野に積極的に資金を投じています。

当グループは「ネットゼロ・アセットマネジャーズ・イニシアチブ(NZAMI)」の設立メンバーとして、アセットオーナーであるお客様の脱炭素の目標を支援しつつ、運用資産の一部に中間目標を設定し、2050年までの世界の温暖化ガス排出量実質ゼロをめざしていきます。(ウエリントンの温暖化ガス排出量実質ゼロへの取り組みの詳細はこちらをご覧ください)

また、当グループは事業活動における2022年までのカーボンニュートラルの実現に取り組んでいます。先般、世界最大級の再生可能エネルギー事業会社であるエネル・グリーン・パワー社と「電力購入契約(PPA)」を締結し、米国内のオフィスと社員の家庭での電力使用量100%に相当する再生可能エネルギー由来の電力調達で合意しました。私の知る限り、当グループは、社員の家庭で使用する電力をPPAで賄う方針を世界に先駆けて打ち出した企業の一つです。そのほかにも、出張の方法からエネルギー効率の高い技術インフラへの見直しに至るまで、環境負荷の低減に努めていきます。

2. アクティブ運用の未来におけるウエリントンの位置づけ

金融市場の期待リターンが低下する中で、多くのお客様が受益者に対する長期的な義務をいかに果たしていくかについて運用アドバイスを求めており、プライベートエクイティやプライベートデット、オルタナティブ投資、集中投資、革新的なサステナブル投資など、より差別化された投資機会と収益源泉への関心が高まっています。

こうした変化を踏まえ、私たちは運用チームの強化、リサーチ体制の拡充、複雑化する投資環境を洞察する新たな運用ツールやテクノロジーの整備など、「アクティブ運用の未来」の中枢を担う分野に注力しています。また、前述したサステナブル投資の取り組みに加え、非公開市場への投資機会やリキッド・オルタナティブの基盤構築も積極的に進めています。私たちは資産クラスやセクターの枠を超えて、協調的で開かれた当グループのグローバルなエコシステムを活かしながら新たな分野を強化します。

3. 持続可能な働き方の計画づくり

当グループは、新たな運用者育成フレームワークをはじめ、様々な能力開発・人材育成の取り組みを支援しています。また、他の多くの企業が取り組んでいる「未来の働き方」については、次のような試みを進めています。

100年に1度ともいわれる事態の中、働き方でも100年に1度の大きな変化が起きています。この変化が組織にどのような意味をもたらすのかを理解するために、私たちはお客様、コンサルタント、同業他社へのインタビューを行い、外部のリサーチ情報を分析し、同僚との意見交換や社内のフォーカス・グループでの協議を重ねました。また、全社的なアンケート調査(80%の社員が参加)や画期的なアイデアの募集(750人が136の企画を提案)などを進めました。

これらの調査の結果は、「働く場所としてのオフィスは重要である」との考えを裏付けるものでした。オフィスは想像力をかき立て、協働的な関係を保ち、対面で交流を図り、互いに刺激し合い激励するための場所としての役割を果たし続けるでしょう。同じ空間を共有することは、研修プログラム、能力開発、メンターシップに欠かせません。一方で、在宅勤務やテレワークには集中して考える時間を確保しやすい、あるいはオンライン会議の普及により自由に意見を交換できるなど、補完的な利点があることもわかりました。また、この2年間で私たちはリモート環境でも強固な企業文化を維持しつつ、業務の生産性向上につなげることができました。オフィスと在宅勤務をうまく結びつける柔軟性な働き方が重要と考えます。

これらのことから、私たちはオフィスと在宅勤務を両立させるハイブリッドな職場環境への移行を進めています。私たちがめざす未来の働き方は、すべての社員がお客様にとって最善の成果を生み出す職場環境を築くことです。働く場所は今後よりダイナミックに変化することを理解し、まだ多くを学ぶ必要があるとの謙虚な姿勢でハイブリッドな職場環境づくりに取り組んでいきます。また、新型コロナウイルスの影響が世界各地で色濃く残る現実も認識しつつ、未来の職場環境を築き上げていく上で、社員の意見や創造的なアイデアを取り込んでいく意向です。私たちはこの新しいハイブリッドな職場環境で共に働き、人を惹きつける協調的な企業文化を維持しながら、長期にわたりお客様とその受益者に卓越した運用成果を提供していくことができると確信しています。

4. 多様性・公平性・包摂性(DEI)の促進

他の経営者の知見を得ていく中で、あるCEOは「企業は人間らしさを表現する」必要があると話してくれました。私はこれを「多様性(D:ダイバーシティ)、公平性(E:エクイティ)、包摂性(I:インクルージョン)=DEI」の長期的な実現に向けた非常に建設的な姿勢と思いました。足元の金融業界はこの目標に程遠いと言わざるを得ません。しかし明るい兆しとしては、この業界には大きく前進する余地があり、様々な経験や視点を持つ人が集まれば、チームワークと成果の向上につながるとの意識が高まっていることが挙げられます。

私たちは、DEIの長期的なビジョンを明確化すると共に、熟慮した上で取り組むよう努めています。私たちの使命を実行するためには、多様な人材、すべての社員が能力を十分に発揮できる平等な機会、包摂的な企業文化が不可欠です。多様性に富んだ包摂的なチームは、独自の洞察力を養成し、お客様の多様なニーズにお応えすべく長期的に優れた運用成果と投資ソリューションの提供を支えるでしょう。また、世界中で次世代を担う人材を惹きつけ、育成する上でも多様かつ包摂的な組織の役割は大きいと言えます。それは、私たちが暮らし働く地域社会に対する価値観やコミットメントとも合致しています。重要なのは、多くのお客様も同じ道を歩んでおり、私たちには今後より高い基準が求められます。その基準を満たすには社員全員が危機感を持つことが必要であり、そうすれば実現できると考えます。

 

私たちはお客様の目標達成に向けたパートナーとして、これらの取り組みが長期にわたるインパクトをもたらせるよう努めていきます。依然として新型コロナウイルス感染が広がる中で新年を迎えましたが、私自身約30年間のヘルスケアセクターの運用を通し、これほどまでに科学の力に希望を持てたことはありません。今後数カ月は忍耐と慎重な対応が重要ですが、ワクチンや治療薬の開発が未来を明るく照らしてくれると信じます。

最後になりましたが、日頃よりウエリントンをご愛顧賜り、厚く御礼申し上げます。引き続き、お客様の期待と信頼にお応えすべく運用成果と資産運用サービスの提供に尽力してまいります。

皆様とご家族のご健勝とご多幸を祈念し、年頭の挨拶とさせていただきます。

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ジーン・ハインズ
ウエリントン・マネージメント
最高経営責任者(CEO)