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日本株式を
見直すべき7つの理由

2022-12-31
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日本株式に対する投資家の熱意は、1990年代から2000年代にかけての下げ相場や、デフレから脆弱なコーポレートガバナンスに至る幅広い構造的問題によって、長い間損なわれてきました。しかし、私たちは今こそ日本株式へのアロケーションを検討するのに絶好の機会だと考えています。以下のように、市場で過小評価されているとみられる7つの潜在的な好材料があるからです。

1. マクロ経済-コロナ禍からの回復:オミクロン変異株の動向を注視する必要がありますが、発表頻度の高い指標によると、日本政府がデルタ株の感染拡大に伴う緊急事態宣言を2021年9月末に解除して以来、日本経済は再び勢いを取り戻しています。日本のエコノミック・サプライズ指数(景気先行指標)は現在、非常に低水準にあるものの、底を打った可能性が高いと私たちは考えています。

2. 金融政策-世界的なインフレが追い風に:多くの先進国、特に米国は高すぎるコア・インフレ率に悩まされていますが、日本ではコア・インフレ率の上昇に伴い中央銀行による金融引き締めが必要になるのはまだ先のことでしょう。実際、「デフレマインド」が転換することは、好材料になると考えられます。

3. 財政政策-再度の大型刺激策:2021年11月に発表された55兆7,000億円の財政刺激策は、日本経済の成長を加速させるでしょう。また中小企業への追加支援は、個人消費と企業投資全体を押し上げると考えられます。

4. ファンダメンタルズ-改革と生産性:日本企業の予想自己資本利益率(ROE)は低水準にありましたが、2021年12月1日時点で9%程度まで上昇してきました。これは米国の27%や欧州の10%を下回る水準ではあるものの、ガバナンスや生産性の改革が継続すれば、一段の上昇が期待できると考えています。純自社株買い利回りの上昇も、これまで株主還元が少なかった日本株式市場にとって歓迎すべき動向です。

5. イベント・ドリブン-選挙による押し上げ:過去の例を見ると、MSCIジャパン・インデックスは、衆議院の解散と総選挙の90日後から180日後の間、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスをアウトパフォームする傾向があります(図表1)。これは特に、財政出動を伴う信頼できる改革シナリオを打ち出して新政権が発足した場合(安倍晋三元政権の場合など)に顕著に現れました。

6. バリュエーション-相対的に高くない:地域間の収益性の違いを調整しても、日本は米国、欧州連合(EU)、新興国など他の地域に比べて相対的に魅力が大きいと私たちはみています。さらに、今後リフレが進むと、魅力的なバリュエーション水準にある日本やその他の地域の株式市場は押し上げられる可能性もあります。

7. 市場のポジション-今なお見過ごされている日本株式:米調査会社EPFRによると、2021年の海外から日本株式への資金流入は歴史的にみても好調で、2013年以来の流入規模となっています。しかし、EPFRが集計した市場ポジションのデータによると、2021年10月時点で、世界の資産運用会社は日本株式を約1.5%アンダーウエイトしています。

過去のレポートでご紹介した通り、日本株式市場は世界で最も非効率な株式市場の一つであることから、アクティブ運用者が超過収益を創出する魅力的な投資機会が豊富に存在していると考えます。つまり、日本株式市場への投資はアクティブ運用者にとって、魚が多く放流された「漁場」で漁をするようなものかもしれません。

図表1
イベント・ドリブン:総選挙前後の日本株式のパフォーマンス

日本の総選挙、MSCIジャパン・インデックス対MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス

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出所:ブルームバーグのデータに基づきウエリントン・マネージメント作成。 0:衆議院解散日または衆議院解散直前に前首相が辞任した日。ベンチマーク:MSCIジャパン・インデックス対MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスのパフォーマンス傾向。指数を運用することはできず、例示目的で使用しています。指数に対して直接投資を行うことはできません。※上記は過去の実績であり、将来の運用成果・市場環境等を示唆・保証するものではありません。

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ダニエル・クック

インベストメント・ストラテジー・アナリスト
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スティーブン・イェ

インベストメント・ストラテジー・アナリスト